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音楽療法とは音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」と日本音楽療法学会では定義されていますが、これだけを聞くと、何だか難しくて分かりにくいと思われるかも知れません。

「長谷部孝子著・お年寄りの音楽療法実践の手引き」には音楽療法とは、音楽によって人の心をゆったりさせたり、躍動させたり、過去を思い出すことで心理的作用に訴え、また身体や頭脳を使うこと、楽器に触れること、直接何かを行うことで機能的作用に訴えることが、脳にとって何らかのよい刺激となり、脳が活性化されることを治療として役立たせることだと書かれています。これならより分かり易いと思います。


音楽療法は大きく分けると、聴くだけの「受動的音楽療法」と、何かを行う「能動的音楽療法」に分けられますが、黒潮園では能動的音楽療法を主とする集団音楽療法を週3回、また、ディサービスセンター悠久に於いても、月2回行っています。


参加者たちが共に昔懐かしい歌を歌い、連帯感を感じ、思い出を語りあうことで心が癒され、脳が活性化されたりするばかりではなく、口角周辺の筋肉や、呼吸器官の衰えの維持、改善にも役立つことでしょう。
また、楽器を使った活動では,適度な緊張が脳を活性化させ、演奏による達成感を感じる事ができるでしょう。


ほとんど発語のない方が、歌を歌うと小さく口を動かしたり、また、歌の続きを歌ったりする事がよくあります。これは認知症が進んで言葉を構成する能力が衰えても、昔よく歌った歌なら労せずに自然に口を付いて出てくるからだと思われます。普段口を動かすことの少ない方が歌を歌うことによって呼吸器官、発声器官を知らず知らずのうちに訓練していることになるのです。唾液の分泌も増えるなど、歌うことによる効果は大きいと言えるでしょう。


ここ黒潮園では、最近、介護、看護、厨房など、それぞれの職域を超え、野菜やお茶を共に作り、頂くなど、それぞれの活動の生活化が広がっています。その成果は音楽療法の時間にも現れ、歌唱や発言が活発化し、回想法にも広がりを見せています。人間関係も改善され、園での生活がより豊かになっていくことを感じながら、今後もさらに利用者様に喜んでいただけるよう音楽療法を展開していきたいと思っています。