ごあいさつ 基本理念について 法人概要について 事業概要について アクセスについて 地域のごあんない


皆様、「言語聴覚士(ST)」という名前を耳にされたことはありますか?
言語聴覚士とは、理学療法士・作業療法士と並ぶリハビリテーションに携わる専門職の一つであり、その中で脳卒中後の失語症、言葉の発達の遅れ、発声や発音の障害、聴覚の障害、つまり多岐に渡るコミュニケーション障害に対するリハビリを専門としております。 またコミュニケーションの問題だけではなく、食べる事(摂食・嚥下)に関する障害に対しても専門的にリハビリを行っています。


嚥下(飲み込み)に障害が見られる方は、食べ物が胃ではなく肺に入ってしまうことで肺炎を起こし(誤嚥性肺炎)、最悪の場合死に至ることもあるため、摂食・嚥下に対するリハビリは非常に重要であると言えます。嚥下障害は脳卒中の合併症に多く見られますが、加齢により嚥下機能が低下することも見られます。


入所者様において食事は非常に楽しみにされており、黒潮園では開園以来、自前の厨房にて利用者様のニーズにお応えで出来る美味しく季節感を感じていただけるような食事を提供していこうと取り組んでおります。そこで更に食事の安全な提供と、誤嚥性肺炎を防ぐ介助法といった介護職員の専門知識・技術の向上を目的に、平成20年8月より大阪にある河内総合病院・言語聴覚士の神代昌計氏による、摂食・嚥下障害に関する施設内勉強会を実施しています。


また勉強会のみならず、月に2回、嚥下・摂食委員会として医師・看護師・栄養士・介護士・理学療法士・言語聴覚士による施設内カンファレンスを定期的に行い、利用者の方の摂食・嚥下に関する問題点を検討し、実際に食事時間に摂食場面を評価するという取り組みを行っております。その評価の結果を踏まえて、誤嚥を起こさない食事形態への変更をはじめ、食べやすい姿勢の調整方法や摂食時の介助方法・簡単な嚥下リハビリについて職員へ指導を頂いております。また、利用者様の嚥下機能の状態や食事内容が一目で分かるチャートを作成し、介助方法の統一化を図るとともに、利用者様が安全で快適に食事をとることが出来るよう継続していきたいと考えています。


今年度は、その合間の時間を利用してディサービスセンター悠久にて、食事の問題だけでなく脳卒中の後遺症の失語症で悩まれている患者様に対して、言語機能の評価や指導、実際の言語療法外来も新たに取り組んでおります。


この紀南地方では言語聴覚士の先生が少ない上に、特別養護老人ホームにてこのような取り組みを行っているということは非常に稀であり、私たちは地域にてお困りになられている患者様に、少しでも満足して頂ける支援を提供していきたいと考えております。


このように黒潮園では専門職との関り(チームワーク)を通じた、より質の高いサービスの提供に向け取り組んでおります。

なお、言語聴覚士にご興味のある方は、日本言語聴覚士協会のホームページを一度ご覧になってみてください。また、和歌山県・三重県・奈良県にも言語聴覚士会がありますので、そちらも併せてご覧になってみてください。